【食後の喘息に対する治療】 那須 登士樹 先生

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症例)
40歳・男性

主訴)
①食後の喘息 ②乾癬 ③右歯痛

初診)
平成29年11月

診断名)
喘息、乾癬

既往歴)
小児喘息、高校生の頃に左肩亜脱臼、30歳で胆嚢摘出、耳鳴り・難聴、歯痛

家族歴)
特記事項なし

社会歴)
未婚 会社員(事務) 大学卒業後就職、20代後半に転職し現在に至る。 同居人は両親 趣味嗜好はなし

現症)
身長170cm 体重62kg  血圧110/70 視力左右0.05 食欲普通、好物(辛物・果物・肉類・魚類)、大便(規則的に毎日・軟らかい)、小便(1日8回)、疲れやすい、憂鬱、イライラ、視力低下、眼精疲労、鼻づまり、喉の痛み、息切れ、食後の腹痛、皮膚がカサカサする、皮膚の痒み、常用薬はメプチン

現病歴)
喘息は子どもの頃から患っていたが、最近になって食後の喘息が3日に1回発症する。
乾癬は20歳の頃に発症。
自分で調べたところ皮膚に問題があるのではなく、副腎に問題があるのではないかと考えている。
歯は噛み合わせが悪かったためか、ある日左上歯が痛くなる。
その後、右歯を削って左歯の痛みは消失。
しかし、今度は右上歯が痛くなり、現在は右下歯が痛い。

検査)
舌診(淡紅、胖大、薄白苔だが舌辺無苔、舌中裂紋)
脈診(弦)
腹診(腹皮拘急)
腰背診(右肝兪~脾兪まで棒状の硬結があり刺痛有す)
左母指爪が乾癬の影響からか変形している

経穴診)
三間・陥谷を押すことにより歯痛減弱、陽輔では変化無し

印象)
内閉的な印象があり、感情を抑えるような雰囲気がある

施術・経過)
初見時
・右肝兪~脾兪に吸角後刺絡
・中渚(灸頭針)、公孫、肝門、肝関、明黄・天黄・其黄
・条口

治療は右肝兪~脾兪に吸角刺絡後に右歯の痛み減弱、身体が発汗しはじめる。
胆嚢炎・耳鳴りに対して、中渚、公孫、肝門、肝関、明黄・天黄・其黄に20分留針
抜針後、腹皮拘急は無くなり歯痛消失。
最後に左肩関節亜脱臼後遺症と噛み合わせ調整に条口刺針。
抜針後、肩関節可動域が広がる。
治療後、脈は滑に変化していた。
肝胆経亢進に対しての治療効果として推測し、次回以降は気管・気管支に対しての治療をおこなう。

考察)
患者はあまり感情を外に出すことが出来ない雰囲気がある。
そのため仕事のストレス発散がうまくいかなそうな印象をもった。
このことによる影響かはまだ明確ではないが、大学生の頃に乾癬を発症した理由もここに関係するのだろう。
また、右歯痛は肝胆に関係するが、右梁門の圧痛を含めても胆嚢摘出による影響はいなめない。
よって、上記の治療をおこなうことで主訴である食後の喘息に対する治療をおこない、今後の計画を立てることにする。

 

はり温灸治療院 カラダノミカタ 那須 登士樹 先生